聞こえについて

私たちが毎日耳にする音には、様々な種類があります。

鳥のさえずりや風の音などに季節を感じたり雨の音で天気を感じたりと、耳から入ってくる音は単なる情報だけではなく、ときには人間の感性や創造力を刺激し直接的に心を動かされることがあります。
ただ単に音として聞くのではなく、「音」の豊かさ、聴こえることのすばらしさを考えながら、自分自身の「聞こえ」と付き合っていきましょう。

聞こえの仕組み

聞こえの仕組み

音とは、空気の振動です。空気の振動を耳でとらえ、その振動が脳に伝わることで、私たちは言葉やその意味を理解することができます。私たち人間がが小さな音や細かい音、音の種類を聞き取ることができるのは、人間の耳の作りが大きく影響しています。

人間の耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分から構成されています。まずは耳として見えている部分(耳介)でとらえた音が耳の穴(外耳道)を通り、耳の奥にある鼓膜で受け止めます。鼓膜で受けた音(空気の振動)は、耳小骨と言われる3つの骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)より成る蝸牛というカタツムリの形をし た器官に伝えられます。この蝸牛で音の信号が電気信号に変換され、聴神経を介して脳に伝わることで、言葉や音を理解するに至ります。

人が音を認知するまでには、このようにたくさんの段階を踏んでいます。このようにして多くの段階を踏むことで、言葉となり、想いを感じることができるのです。いつもは自然と聞こえている音ですが、とても愛おしいものなのです。

聞こえの種類

私たちが言葉や音を聞く際の「聞こえ」の種類には、主に下記の4つが挙げられます。

聞こえの感度

・・・どのくらい小さな音を聞くことができるか

聞こえの感度

小さな音は聞こえにくく、大きな音は聞こえやすい。当然のことではありますが、以前よりも小さな音が聞こえにくくなってきた場合は、聞こえの感度が悪くなってきたと考えられます。

語音弁別能力

・・・言葉を聴き分ける能力

語音弁別能力

実は、「音が聞こえること」と「言葉を理解できること」は同じようで異なります。いくら音を認識することができても、「何を話しているか分からない」状態になってしまっては、音を大きくしても「聞こえ」の改善にはつながりません。

周波数弁別能力

・・・音を選別する能力

周波数弁別能力

音や言葉は聞き取れるのに、数人の人と会話する際に不自由を感じてしまう…。そのような場合は、「聞きたい音を選び出す能力」が低下している可能性があります。この能力の低下は、コミュニケーションを躊躇させてしまう要因にもなりかねません。

時間分解能力

・・・早口などの素早い音を処理する能力

時間分解能力

ゆっくりとした会話なら問題はないのに、早口になった途端、理解が難しくなる…。そのようなケースでは、耳から入った音を中枢で処理する時間が関係しており、これが低下することで、 早口の会話に対応が難しくなります。

基本的に音は、「強さ」や「高さ」「音色」などの複数の要素から成り立っています。強さとはいわゆる「音の大きさ」、高さとはその名の通り「音の高低」です。そして、同じ大きさ、高さの音を出しても楽器など種類が違うと聞こえ方が変わりますが、これが 「音色」です。これらが複雑に絡み合うことで無数の音が作られるのです。私たちの生活に関係する音を一例挙げてみます。

環境音
  • 人の話し声
  • 楽器の音色
  • 車や電車の音
  • 電子機器などの電子音
  • 風などの自然が奏でる音
  • 危険を知らせる警報音

など

モスキート音

このように、音といっても多種多様です。もう一つ音の大きな特徴として、「年齢によって聞こえにくい音がある」という点です。分かりやすい例がモスキート音と言われる「若者に聞こえて、中高齢者には聞こえない音」の存在です。

このように、私たちは加齢と共に音との付き合い方も変わってきます。どのように、自分自身の「聞こえ」と付き合っていくのかは非常に重要な問題なのです。